保育士はとても給料が低い

現在保育士資格を持つ人が急募されていますが、これは資格者そのものが不足をしているというわけではありません。

むしろ国家資格試験の回数を年に2回に増やし、受験条件を緩和していることから資格取得そのものは以前よりもできやすくなっています。

受験者数や資格取得者数も年々増加傾向にあり、学生だけでなく社会人になってから取得を目指す人も多くいるのです。

しかしそうして苦労をして保育士資格を取得しても、保育の仕事に勤務をしなかったり、勤務をしても早期に退職してそのまま復職をせずにいる人がたくさんいます。

そうした資格のみを持って勤務をしていないという人を「潜在保育士」といいますが、この数もまた年々増加傾向にあるのです。

潜在保育士の数は、2015年時の調査で全国に約76万人とされています。
一方全国で保育の仕事をしている数は約43万人とされているので、実質的には半数近くの人が保育の仕事から離れているということが分かるでしょう。

言い換えればいくら資格取得条件を緩和して人材を増やしても、就業したいという人が増えなければ底の空いたバケツのようなものでほとんど意味がありません。

なぜ潜在保育士が多くなっているかというと、その理由として真っ先に挙げられるのが「給与待遇の悪さ」です。

給与待遇の悪さは以前より指摘されていることですが、民間保育所の正社員ではとても生活できないレベルの給与になっていることもあり、続けたくても続けられないという悩みを持たれることがあります。

残業が多い

潜在保育士を増やす理由のもう一つが就業時間の長さです。
保育士の仕事のメインは子供を預かってその世話をすることですが、その仕事以外の業務が非常に沢山あります。

具体的には保育における指導計画を作ったり、保護者に渡す連絡帳やお便りを作成するといった事務作業です。

他にも室内の清掃業務や施設の整備、研修や外部の機関(行政機関、医療機関、福祉施設など)との関連業務が多く発生してきます。

それに加えて近年では保育士の仕事に伴う責任が重大になってきました。
保育中のケガや病気はもちろんのこと、保育方法について施設管理者や保護者から厳しい意見を言われることも多く、それが日々の業務を圧迫してきます。

そうしたプレッシャーと給与待遇の悪さが非常に割に合わないものであると感じた時、やはり多くの保育士は離職を選ぶことになってしまうのです。

一旦保育の現場から離れると、なかなか復職ができなくなってしまいます。
自分自身が結婚や出産をした時にはより一層時間的余裕がなくなりますので、やる気があったとしても実質的には続けるのは無理ということになってしまうのです。